今回は2021年度大学入試において、前年度から大きく志願者数を減らした関東の私立大学を5校ピックアップしてお話していこうと思います。
なお動画でも詳しく解説しておりますので、よろしければご覧下さい。
2021年度入試は大学全体で約10%減
2021年度入試は大学全体で10%ほど志願者数を減らしました。当たり前ですけどコロナの影響が大きいですよね。ですから2021年度入試では基本的にどの大学も志願者数を減らしています。
今回お話するのは、その中でも志願者が本当に大きく減った大学で、お話する5校はすべて、志願者数の前年比が70%未満の大学です。
この5校が、なぜ志願者数をこんなに減らしたのかについても、てんどー自身の主観と想像を交えながら解説していきたいと思います。
志願者数を大きく減らした関東の大学
青山学院大学・国士館大学
青山学院大学は前年比69.4%、国士舘大学は前年比59.6%です。
まとめてふたつ出したのは、すでに以前出した記事で解説しているからです。このふたつの大学の志願者が大きく減った理由を詳しく知りたい方は、下のリンクからご覧下さい。
今回は、簡単に解説します。
青山学院大学の志願者が減ったのは、2021年度入試からほとんどの学部で共通テスト+独自試験という入試形式に変わったためだと思われます。
国士舘大学の志願者が減った理由は、下の3つだと思います。
- 大東亜帝国を受験する層が推薦や総合型に多く流れた。
- 地方の受験生の地元志向が強く、特にデリバリー選抜で大きく志願者を減らした。
- 近年、国士舘大学が難しくなったという印象が強くあった。
それにしても国士舘大学の59.6%は、減りすぎですよね。この反動で次、2022年度の入試はどうなるか。コロナのこともあるので、現時点では予測は難しいですね。
神奈川大学
志願者数を大きく減らした関東の大学みっつめ、神奈川大学です。前年比66.5%ですね。ここもかなり減らしましたね。ただこの減少には分かりやすい理由があります。
神奈川大学の給費生入試
神奈川大学には給費生入試という入試制度があります、毎年12月の20日前後に行われ、この入試で合格すると4年間で最大840万円の給付が受けられるというものです。詳しくは神奈川大学のHPをご覧下さい。
さらにこの入試は給費制合格と、一般入試免除合格という2種類の合格があります。つまり、給費制合格はダメでも、給費を受けない普通の学生として合格することも可能なんです。
神奈川大学の入試制度の中では、大きな看板になっている制度ですね。うちの塾の生徒も本格的に始まる入試前の腕試し的に受験する子はたくさんいます。
ただ2021年度入試では、この給費制入試の日程が例年の12月20日前後ではなく、通常の一般選抜の日程とほぼ同じ2月4日になりました。
これは2020年1学期の休校措置により高校ごとの学習進度の差が生じ、12月の試験実施だと公平性を保てないためだそうです。もっともな対応だと思います。
ただこの日程の変更によって、他の大学の試験がない12月に受験できて、さらに早めに合格校を確保できるという受験生にとってのメリットがなくなってしまいました。
数字で見ると、給費制入試の志願者数がマイナス約7300人、前年比約33%と、ここで大きく志願者を減らしています。
神奈川大学の学部別の増減は
学部別にみると、国際日本学部が志願者数を減らしています。ここは2020年に新設された学部で初年度の人気が高かった分、そしてコロナで国際系の人気が下がった分、かなりの人数減っていますね。
逆に経営学部と人間科学部、理学部は志願者があまり減っていません。
経営学部は2021年4月に湘南平塚キャンパスからみなとみらいキャンパスに移転するためだと思います。
人間科学部と理学部はなぜでしょう。理学部はもしかしたら湘南平塚キャンパスから横浜キャンパスに2023年に移行するんですけど、それまでどうせオンラインだから平塚のキャンパスでもいいかと考える受験生がいたのかもしれません。
産業能率大学
志願者を大きく減らした関東の大学よっつめ、産業能率大学で、志願者の前年比が68.1%です。
産業能率大学は2019年度入試のときに一度志願者がガンっと増えたんですよね。2020年度は微減、そして2021年度に大きく志願者を減らしてしまいました。
特に目立ったのがプラスワン入試における減少ですね。
このプラスワン入試というのが、外部英語検定のスコアを利用できたり、高得点2教科での合否選考を追加出来たり、学科を3学科まで受験出来るようにしたりと、受験生を受からせよう受からせようという大学の優しさというか思惑が非常によく見える入試です。
2019年度・2020年度の入試ではこのプラスワン入試がとても人気だったんですが、2021年度では志願者を大きく減らしました。これは単純に高倍率だったプラスワン入試を今年の受験生が避けたことが原因だと思います。
拓殖大学
志願者を大きく減らした関東の大学いつつめ、拓殖大学です。志願者数の前年比が…57.4%です!おそらく関東の私立大学の中で一番前年比が低いのではないでしょうか。
でもこの減少の理由は、意外とシンプルだと思います。
拓殖大学は2020年度入試で志願者が激増しているんですね。2019年度入試で11,532人だった志願者数が2020年度入試では17,163人に増えています。前年比148.8%ですね。
当然倍率もかなり上がり、2021年度の受験生はその倍率を見て避けた子もたくさんいたんでしょうね。2021年度入試は志願者数が9,857人と激減しました。
2020年度に志願者が激増した理由は、やはり受験生の超安全志向の受け皿としてだと思います。
でも「レベル的にちょうどいいから」という理由だけではなく、大東亜帝国や日東駒専ほど知名度はありませんが、拓殖大学は言語教育をはじめとした国際人育成に定評がある大学と世間的にも認知されてきたからではないでしょうか。ただ2021年度入試はコロナのために国際系に人が集まらなくなってしまったので、その点も志願者を減らした原因のひとつなのかなと思います。
超安全志向の受験生の受け皿としての4大学
今回お話した、青山学院大学を除いた4校は、レベル的には似たような大学ですね。神奈川大学がちょっと上の方ですかね。
この4校に共通して言えるのは、ちょうど定員厳格化が始まったころぐらいから、人気が徐々に上がってきて、さきほども話しましたが定員厳格化に対する受験生の超安全志向の受け皿として機能していた大学だと思います。
それが今回のコロナと大学受験改革などで関東の大学を受ける受験生自体が大きく減り、そのしわよせをもろに受ける形になったのではないでしょうか。
ただ、今回大きく志願者を減らした分、来年は志願者が増え倍率がむちゃくちゃ上がる可能性もあります。2020年度入試を受ける受験生はチェックしておくべき5校だと思います。
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