学校推薦型選抜と総合型選抜、どちらもちょっと長いので、推薦と総合型と省略させていただきます。今回は、このふたつの受験方式を比較していこうと思います。
なお動画でも詳しく解説しておりますので、よろしければご覧下さい。
推薦と総合型選抜を比較
出来れば一般選抜ではなく、推薦か総合型で大学に進学したいと考えている人は多いと思うんです。ただ推薦と総合型選抜のシステムや、どちらを選んだ方が受験に有利なのか、どちらが自分に向いているか、そういうのがよく分からないっていう人も多いと思うんですね。
そこで今回は、こちらの5つの項目について、推薦と総合型の比較をしていこうと思います。
- 出願条件
- 試験内容
- 倍率
- 推薦に向いているタイプ
- 総合型に向いているタイプ
この記事を最後まで読むと、推薦と総合型の出願条件の違い、どちらの方が大変なのか、どちらの方が合格しやすいのか、そして推薦はどんな人に、総合型はどんな人に向いているのかについてお分かりになると思います。
比較①出願条件
推薦と総合型を比較すると、総合型の方が推薦よりも出願基準は甘くなっています。
まず推薦は高校の推薦状が必要です。また評定平均、つまり成績の基準が出願条件に入る大学がほとんどです。さらに大学によっては英検などの外部英語検定が条件に入っている場合もあります。例えば、評定平均が4.0以上で英検2級を持っている高校生、となるとなかなかハードルが高いですよね。
一方、総合型は、高校の推薦状は必要ありません。それに評定平均が出願条件に入っていることはほとんどありません。つまり、総合型はあまりハードルが高くない分、多くの高校生が受験することが出来る方式と言えます。
比較②試験内容
2020年の大学入試改革から、推薦と総合型の試験に学力検査が必須となりました。2019年までは、面接だけとか小論文だけという大学が結構あったんですが、2020年からはそれがダメになりました。
それではどのような試験になったかというと、推薦の場合は、面接またはグループディスカッション、それと小論文または口頭試問というパターンが多かったと思います。
それに対して総合型は今言った推薦の試験内容に加えて、大学によっては課題が与えられてそれについて前に立って発表するプレゼンテーションや、またはセミナーを受講して、終了後にそのセミナーについての筆記試験や口頭試問をするものなどさまざまなパターンがあります。
プレゼンテーションが試験の場合は、当然かなりの時間を準備に割かれますし、そもそも面接試験においても、推薦と総合型だと総合型の方がより深い内容を聞かれることが多いです。大学に入ってから、そして社会人になってからの展望を、具体的に言えるようにしておかなければいけません。
比較③倍率
倍率は、推薦の方が低くなる傾向があると思います。指定校推薦は別にして、公募推薦と総合型を比べても、やはり公募推薦の方が倍率は低いです。
公募推薦と指定校推薦についての違いは、こちらの記事で解説しておりますので、よろしければご覧下さい。
推薦は評定平均というハードルがあるので、自然と受験者の数は減ります。それに対して総合型は、基本的に出願条件はあまり厳しくなく、誰でも受験しやすいので、受験者の数は増えますよね。
ですから、公募推薦は倍率が1.3倍とか1.5倍ぐらいの大学はけっこうあるんですけど、総合型は、たいていは2倍、3倍、4倍、場合によって20倍の倍率が立つ大学もあります。倍率の低さ、つまり受かりやすさという点では、総合型よりも推薦の方がかなり有利だと思います。
比較④推薦に向いているタイプ
3タイプあるんですが、努力が継続できるタイプ。そしてスケジューリングが得意なタイプ。最後に暗記が得意なタイプです。
努力を継続できるタイプ
これは皆さん納得ですよね。推薦にはコツコツ型の高校生が抜群に強いです。
スケジューリングが得意なタイプ
いつまでにこの提出物を出して、定期テストの勉強はこのときから始めてというように、勉強についてのスケジュール管理が出来るタイプも推薦に向いています。特に提出物は成績に大きく関わってきますので、提出期限の把握は必須です。
暗記が得意なタイプ
長年塾の講師として、多くの高校生を見てきましたが、数学など暗記より理解力を必要とする科目が得意な生徒より、暗記科目に強い生徒の方がテストの結果と評定平均が高くなる傾向があります。定期テストは暗記科目の方が多いですし、暗記科目の方が安定して高得点を取りやすいからだと思います。
比較⑤総合型に向いているタイプ
2タイプあります。将来に向けての向上心があるタイプ、それと表現力があるタイプですね。
将来に向けての向上心があるタイプ
このタイプというのは、将来の目標がしっかり定まっていて、日頃からその目標に対して前向きな努力をしている人のことを指しています。このような人は、総合型の面接では必ず高く評価されます。
表現力があるタイプ
これは逆に言うと表現力がないと総合型はかなり厳しいということです。
教学舎では授業が終わった後、生徒に授業の感想を書いてもらいます。「めんどくさい!」と思っている生徒も中にはいると思うんですけど、これは出来るだけ文章を書かせることで生徒の表現力を高めたいという狙いもあるんですね。
この感想に「疲れた」とか「分かった」とか一言しか書かない生徒もいますが、こういう生徒はたいてい志望理由書や面接試験のときにすごく苦労します。自分が思っていることを自分自身の言葉で表現することが出来ないんですね。
特に総合型の面接の場合は、将来の展望などを深く聞かれることが多いので、暗記してきた答えをただ返すという受け答えでは、対応できなくなる可能性が高いと思います。総合型を希望する場合、ある程度の表現力は必須だと考えておいて下さい。
推薦と総合型、どちらの方が合格しやすいか
5つの項目について、推薦と総合型を比較してきました。さいごに、推薦と総合型のどちらを狙った方が志望校に入りやすいかということですが、これは推薦ですね。
理由はひとつだけ、倍率です。先ほども話した通り推薦の方が総合型より倍率は低めになることが多く、それだけ受かりやすくなります。
ですから高校の成績はとれるだけ取っておいて絶対に損はありません。高31学期までの成績が推薦には反映されますので、あきらめずに頑張って欲しいと思います。
てんどー個人の考え
総合型の受験を甘く考える子は本当に多い
「もうこの成績なら推薦は無理だから、仕方ないから総合型にしよう!」と、こういう子はまだ良くて、中には「定期テストの勉強も受験勉強もしたくないから、総合型でいいや!」と考える子もいます。
そもそも高校の定期テストの勉強さえしないような子が、総合型を受けても、大学の面接官に「あーこの子は勉強がしたくなくて、総合型に流れてきた子だな」と見透かされることが多く、当然合格する可能性も高くありません。それで合格する子もいますが、その場合大学はあまり高いレベルの大学でないことがほとんどですね。
総合型は非常にお得?
ただし、総合型を否定するわけではけっしてありません。
一生懸命勉強したけど、成績がどうしても足りないから総合型を受けようという子もいるでしょうし、先ほども話したように、将来の目標が明確で、それを大学側に上手に説明できる自信がある、そういう方は推薦よりも総合型の方が受かる確率が高くなるかもしれません。また行きたい大学が総合型選抜しかないという場合もあります。
準備が大変という側面はありますが、総合型は行きたい大学に行くチャンスが1回増えるという点で、非常にお得な受験方式であると思います。
公募推薦と総合型のW受験が可能な場合も…
最後に裏技でも何でもないんですが、総合型と公募推薦は時期がずれているので、同じ大学の総合型と公募推薦を両方とも受験することが可能な場合は多いです。
どうしても行きたい大学があるなら、総合型をまずは受験して、だめなら公募推薦、それでもだめなら一般選抜という流れを作ることで、その大学に入れる可能性はかなり上がると思います。
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